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為替がわかれば世界がわかる



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本書は、大蔵省国際金融局長、財務官を務め、実際に通貨当局の介入を通じて為替市場に関わった著者が、「為替を読む」ための考え方や情報戦略を説いた実務的な書である。したがって、経済マクロやテクニカル理論のみを解説した既存の書とは異なり、通貨当局者として実際に行動したプロセスやその背後にある考え方、情報戦略、裏話をも含む実践的な内容となっている。

著者は、為替市場は、モノの市場とは異なったバーチャルな市場のため、著しく流動的、相対的、主観的になりがちであると考える。経済学者ケインズの有名な「美人投票」を説明し、誰にもコントロールできない最も自由な市場であると説明している。

そして、ソロスの誤謬性(人間の知識は不完全で間違いやすく予想しても間違うということ)、やルービンの人生哲学、スティグリッツの情報の非対称性(持てる者と持たざる者の情報格差)を挙げて、為替を読むうえでの大きな考え方を導いている。

そのうえで、本書では実際に著者が大蔵省時代に経験し実行した為替介入に付随する話や具体的な情報の取り方、戦略が詳しく解説されている。ここで強調されているのは、人間には誤謬性があるため、現実の変化に合わせて自分の見方を絶えず見直し、長期の見通しを立てるべきだという考え方である。

評論家や為替ディーラーが書いた本は数多くあるが、本書では、通貨当局の人間が、国家政策レベルでの情報戦略を解説している。これまでにない為替関連書として、金融関係者はもちろん、学生やビジネスパーソンにもすすめたい。(木村昭二)



世界がわかれば為替がわかる?

 タイトルから判断するに、本書は為替市場予測の方法と重要性を説明したものだと思っていた。ところが、この本の中で為替市場は「他人の判断に影響されやすく、不確実で読めないものである」と述べられており、この本の主眼はそのような点におかれていない。筆者はこの本で為替理論を説こうとしているのではなく(為替市場を読み解く正しい理論はありえないとさえ言っている)、いちじるしく流動的、相対的、主観的な市場である為替市場に対峙した自身の経験を通じて情報というファクターの重要性を説いている。

 為替市場で情報が重視されるのは、理論経済学で前提とされている市場参加者が保有する情報の完全性という完全競争市場の要件を為替市場が満たしていないからである。したがって政策決定にあたっても配慮しなければいけないのは市場参加者の情報の取捨選択に影響を及ぼすサプライズ(新しい情報)である。サプライズがなければ、例え政府関係当局であっても市場にインパクトを与えることはできない。しかもこれは為替市場に限ったことではなく、グローバル化が進んだ巨大な資本主義市場一般に言えることで、例え政府という相対的に大きな経済主体であってもサプライズがないと完全に市場を制御できず単なる市場の1プレーヤーにすぎないというのが筆者の主張である。

 この主張を基にして最近の経済政策の効果が小さい原因は、政策が市場心理にプラスの影響を与えていないからであると結論付けることは一見可能であるように見えるが、必ずしもそうとはいえない。仮に経済政策が市場心理にプラスの影響を与えていても、それを打ち消すほどのマイナスの影響を市場心理が受けていれば結果として市場に好影響を与えたことにはならないからである。
サイコー

 私は、榊原さんをこの本を読んで尊敬してしまった。この本は為替のことだけではなく、現在の経済の問題点をよく説明してくれている。私自身、新古典派経済学の市場万能主義的考えをもっていたが、この本を読んでそれも変わってしまった。これも、現場の第一戦で活躍していた榊原さんだからこそ言えることだと思った。
為替ゲームへの参加者、求む!

 株や為替は、美人投票、誰にも操作できない。

 でもある程度は予測できると期待して読み進むと、色々発見が

 あった。市場参加者は多く、人は間違える生き物。

 市場は参加者が相互に干渉しながら形成される。

 情報は均質に伝達しない。それぞれ立場が違うと答えも

 違うなど、プレーヤーとして、知っておくべき条件が描かれている。

 また為替市場に介入するということはどういうことか、我々では

 実体験できない事にも言及されており、ためになった。

 最後にはここ10年から、この後10年先の動きについての世界情勢

 にも視野が広がり、そういうことが始まっているのかと気付かされた

 さすがはミスター円、榊原先生の私にもわかる良書でした。
運用という現場での姿勢

運用(株式、債券、為替・・・)という職業に携わるときの
基本的な姿勢、考え方、行動、そして思想へ・・・
内容は難しくありませんが、運用に興味を持っている人は
楽しく読めるはず。

運用業務に携わっている人が、持っていなければならない
忘れてはならない基本を知ることができます。
榊原英資とはだれか?

 要するに,論旨は“情報は大事だよ”。なんだ,詰まらない。本書は,榊原の交遊録であり,職歴の一部を開陳したような代物(ゴーストじゃないんだろうか?)。それでも僕の興味を惹くのは,やっぱりそれが“榊原英資”であるから。これまで,彼ほどメディア露出を活用してきた東大卒官僚は私の人生では稀だし,『報道2001』(フジテレビ系列)や『サンデープロジェクト』(テレビ朝日系列)でガンガン批判してくる論敵を,作り笑いとはいえニコニコしながら対応・反論している日本人官僚を,僕は生まれて初めて見たという経験による。ジョージ・ソロスやローレンス・サマーズやグリーン・スパンと(対等互角かはともかく)やりあった形跡のある官僚を,僕は生まれて初めて見たという経験による。(ちなみ!に,北朝鮮拉致事件が取り上げられていたとき,外務省大洋洲局長(外務省の実質的ドン)の田中均は国会に呼び出されてメソメソ泣いていた。新聞はこれを深刻には取り上げてはこなかったが,読者よ,日本国民よ,これであなたは不安を感じませんでしたか? あなたが万が一,拉致されたとき当局は“知らぬが仏”的態度をとるのですよ?)

 著作の扱い方は大学研究者並で,学究肌さえ感じさせる(わかる人だけわかってね)。定年を過ぎても,大学教授として天下って,美味しい蜜を吸ってても,緊急のときは,悪辣(元)大蔵省官僚として,密使としてでもメディア広告塔としてでも,我を張って下さい。わたしはそれを応援いたします。



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